『銃・病原菌・鉄㊦』を読んだ感想

『銃・病原菌・鉄㊦』ジャレド・ダイアモンド(著者), 倉骨彰(訳者)を読んだ。

この本は、文字や技術、人間社会の歴史と、大陸ごとの社会の発達について書かれている。

この本の中で最も興味深かった内容は、「第14章 平等な社会から集権的な社会へ」である。この章には、紀元前の人間社会が、現代の国家へとどのように変化していったかが書かれている。

 

この章では、人間社会の種類を小規模血縁集団、部族社会、首長社会、国家の4つに分類している。紀元前の狩猟採集民は、血縁関係や親戚関係にある人々で構成された小規模血縁集団を形成していた。この社会は、階級が存在せず、権力や情報の独占もない平等な社会だった。

1万3000年前から、食料生産と定住生活が始まると、複数の血縁集団からなる部族社会が形成された。部族社会は、小規模血縁集団と比べて人数が多かったが、情報や意思決定が社会全体で共有される「平等社会的」な集団であった。

7500年前頃から、数千人から数万人が暮らす首長社会が出現した。首長社会の人々は血縁関係でつながっておらず、他人との間でもめごとやいざこざが起こった。これらを解決するため、権力を世襲で受け継ぐ首長が誕生した。首長社会は、首長の家系と平民階級とに二分されていた。そして、社会の人口が増え、階級が複雑化していった末に、国家が形成された。

 

この本を読むまで、なぜ人間社会に階級があるのか疑問に感じていた。しかし、権力を行使できる人間を限定することで、他人同士のもめごとを解決したり、意思決定を迅速に行えるというメリットがあることが分かった。また、エリート階級の特権を正当化するために宗教が利用されたり、社会の人口が増える中で法律や税制などのシステムが発達していったことを知った。